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美容院にて




蜂「いらっしゃいませ」

猿「おう。可児くんは?」

蜂「あ、可児は今お昼休憩中ですが」

猿「なにいないの?」

蜂「はい、出てます」

猿「じゃ待つわ」

蜂「はい」

猿「どんくらいで戻るの?」

蜂「そうですね、たった今出たばかりですのであと30分弱くらいでしょうか」

猿「えー30分も待てねーよ、なんとかなんねーの?」

蜂「えっとそうですね、現在他にお客様がいらっしゃらないので、すぐにということでございましたら私が担当できますが」

猿「え?ねーちゃんが?あー、なんだっけ?名前」

蜂「蜂須賀です」

猿「あーハチスカさん。できんの?」

蜂「はい、ご注文にはできるだけお答えしますよ」

猿「注文っつっても、俺いつも可児くんに「いつもの感じ」っていう風にしか言わねーからさ、細かくいろいろ言えねんだけど」

蜂「あー、そう、ですね。あ、でもいつもなんとなくは見てますからできると思いますよ。全体的に短くなさる感じでよろしいですよね?」

猿「いや、全体的に短くっつーわけでもないんだけど。なんつーの?ほら、いつもの感じだよだから。わかんね、言葉で言いづらいわ」

蜂「えーと、そうですね、でしたらやっぱり待っていただいた方がよろしいかもしれませんね」

猿「だよな?俺ハチスカさんだとちょっと不安だわ」

蜂「ごめんなさいねー。では何かお読みになりますか?」

猿「あー。あそーだ、ここの美容院バキ置いてねーよな。バキ置いてよバキ」

蜂「バキ?」

猿「知らねーの?バキだよ。もういいや、読みたくなったら自分で読むから」

蜂「かしこまりました。お時間の方は大丈夫ですか?」

猿「まーちょっと急ぐけど」

蜂「あ、それでしたらいつでも声をかけてくださいね。その時は担当いたしますので」

猿「ん?んー」




蜂(うぜえ!猿渡うぜえ!早く帰ってきて可児くん!)





25分後


蜂(遅いっ!早く帰ってこい可児!つーか客こい!猿渡と2人っきりやだ!)






12分後


可「戻りました。あ」

猿「おせーよ可児くん。すげー待ったわ」

可「すません、いらっしゃいませ」

蜂「(ヒソヒソ)ちょっと遅くない!?」

可「すません」

猿「うわ餃子くせ。おまえ王将行っただろ?」

可「え、あ、はい」

猿「なんでこんな昼時にすげー混む王将行くんだよ」

蜂「(ヒソヒソ)そーだよ!てゆーか美容師が勤務中に餃子食べるとかナメてんの!?そうゆうのちゃんと考えてよ!プロなんだから」

可「すません」

猿「なんかすげー餃子食いたくなったわ。ちょっと彼女にメールするわ」

可「あ、はい」

蜂「(ヒソヒソ)ちょっとこっち来て!……あのさ!確かに今日平日だし予約もないからあんま混まないかもしれないけど、店長いないから1人休憩行ったら店には1人しか残らないことぐらい分かるでしょ?だったらもうちょっと考えてよ」

可「はい、すません。えと、でも店自体は、あの、王将は空いてて」

蜂「え?なによ」

可「なんスけど、途中であの、ゴキブリが出たって騒ぎになって、あ、他のテーブルで」

蜂「え?ああ。え?あ、ああ…」

可「そんで見たかったんでそっちのテーブル行ったんスけど見れなくて。で、そしたらまた出たって騒いで、また行ったんスけどまた見れなくて」

蜂「あ、うん」

可「そういう一連のあれこれがあったんで、ちょっとだけ厨房が止まったんスよ。それでちょっと時間かかって。で、復活して、あの、厨房が。その後やっと餃子来たんス。だから予定より遅くなりました。すません」

蜂「あ。んー。んー?なんか、あんま話がうまくつながってない気もするけど、あーなんか、あー、まー、まいっか。分かりました。ふぅ。なんか、うん、なんか分かったわ」

可「え、なん、あ、すません」

蜂「うん、いいや。じゃ、あたし休憩いってくるね」

可「あ、どうぞ」



猿「おう、たのむわ」

可「あ、はい」

猿「いつもの感じで」

可「はい」



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今日ねぎ(根岸絵美その人)があんパンを作ってきて、みんなに配ってました。
僕はちょうど甘いものが食べたかったので、3個もいただいちゃいましたよ。

てか家でパンってあんま作らないでしょ。
これだけでもすごいことなんだけど、普通においしいパンだったってとこが好評価でした。
何様だ自分。
ありがとうねぎ。


あんパンといや、アンパンマンの歌の歌詞って深いですよね。
『アンパンマンのマーチ』ですよ。

「何が君の幸せ
 何をして喜ぶ
 分からないまま終わる
 そんなのはいやだ」

その通りですな。


美容院にて
開店前



蜂「聞いてよ昨日さー、アレ出たのよ」

可「え、アレって」

蜂「だからアレよアレ」

可「え、なんスか」

蜂「あーもー声に出して言いたくない。分かるでしょ?」

可「霊スか」

蜂「違う違う、それだったら霊って言うでしょ。じゃなくてアレ、つまり、ほらあの、G的なやつよ」

可「あゴキブリっスか」

蜂「そーよ!アレって言ったらそいつしかいないでしょ普通」

可「いや、そうスか」

蜂「そうだよー!なんかさ、こう言うとあたしが全く片付けられない女みたいに思われるかもしんないけど、むしろ逆。あたしすっごい几帳面っていうか、潔癖だからさ、もう常に部屋の中整頓できてないと気が済まないわけよ。なのによ!出たのよ!意味わかんなくない?これじゃあたしなんのためにキレイにしてんのかわかんないじゃん」

可「はあ」

蜂「絶対さー、同じ階のどっかの部屋のヤツが汚くしてるんだよ。それでうちの階、てかマンション中に蔓延しちゃってんだよ」

可「いや、そうスか」

蜂「だってさ、これだいぶ前だけど、朝ゴミ捨てに行ったら、誰かが捨てたゴミ袋の中から出てきたもん!しかもでかいのちっちゃいの合わせて5匹はいた!もー最悪!ああ思い出しただけで吐き気がする」

可「そんな気持ち悪いスか」

蜂「キモいよー!可児くん平気なタイプ?まー男の子だもんね」

可「いや、見たことないス」


蜂「……え?」

可「ゴキブリって見たことないんスよ」

蜂「え?ちょ、なに?マジで言ってんの?」

可「はい」

蜂「え?え、え、え?えぇー!?ウソでしょゴキブリぐらい見たことあるでしょ20年以上生きてきてるんだから!あ、あたし今ゴキブリって思わず言っちゃったけど、まいいや、だってさあいつら、あたしらより何万年?何十万とか、むしろ億?年前から生きてきてるわけだから一回も遭遇しないとかありえないって!」

可「まあそうなんスけど。残念ながら見たことないんス」

蜂「むしろラッキーでしょそれ!えー、でもウソウソ!実家とかでも出たことないの?」

可「いや出たことはあるらしいんスけど、たまたまおれが家にいない時とかに出たみたいで、後から、はい話聞いたりして知りました」

蜂「え、じゃあどういう形してるとかも知らないわけ?」

可「いや、テレビとかでは見たことあるんで」

蜂「あそう。でも実物は目にしたことがないと」

可「はい、だからテレビで初めて見るまではツチノコ的なもんだと思ってました」

蜂「いや、確実に存在してるから奴らは!」

可「そうなんスよね。だから一回実際に見てみたいんス」

蜂「まあ見ても全然嬉しいもんじゃないけど、なんかごめん、なんか知んないけど、可児くんかわいそー(笑)」

可「おれゴキブリに嫌われてるんスかね」

蜂「えーなにそれ、ほんとにそうだったらかわいそー(笑)いややっぱラッキーだわ。や違うか。んー、あーわかんない、なんか複雑だね」

可「いや、普通に見たいスよ」

蜂「変なの(笑)」




蜂「きゃ、ゴキブリ!」

可「どこスか!?」

蜂「うっそー(笑)」

可「……」

蜂「あはは。さ、がんばろ」

可「……はい」





連載ばかりじゃなく、普通の日記も書きます。


今日交差点で信号待ちをしてる時、オカマを目撃しました。
なんか男の声でオネエ言葉使ってる人がいるなーと思ってたんで見たら、なんと普通のおっさんでした。
ちょっと太めで、普通に短髪でメガネをかけて、白と青のボーダーのシャツを着たおっさんでした。
その容姿でオネエ言葉はちょっと違和感があるはずなのに、なぜかすごくすんなり受け入れて、「こういうタイプのオカマもありかー」と思いました。
なんか全然やらしい感じとかなくて、気持ち悪くもなくて、いいオカマだなぁという印象でした。


いや、でもほんとはいつもは女っぽい格好してて、今日はハロウィンだからおっさんの仮装をしてるのかもしれない。
おっさんだって、言ってみりゃ魔族みたいなもんですもんね。
ないか。それはないか。
トリックオアトリート!


美容院にて



可「いらっしゃいませ」

猿「いつもの感じで」

可「はい」

猿「ちびまる子ちゃん読むわ」

可「はい」



可児、チョキチョキ
猿渡、パラパラ



猿「俺んちさ、目の前に中学あんだけど」

可「あー復讐中学校」

猿「そう復中。前言ったかこれ。いやなんか最近すげー合唱やっててうるせーんだよ。なになんか近いうち合唱コンクールでもあんのかあれ」

可「いや、どうスかね」

猿「そんでさ、俺あんま合唱とかマジメにやってたタイプじゃねーからわかんねんだけど、なんかさ、海ーがみーたーい人をー愛したいとかっていう歌が耳から離れなくてさ、もういい加減聞き飽きたんだわ。メロディーも歌詞もヘビーローテーションだから部分的だけど覚えちゃってんのね。なにあの歌、聞いたことねーんだけど。なんなのあれ知らね?すげえイライラする」

可「たぶん怪獣のバラードっス」

猿「え?」

可「怪獣のバラードっス」

猿「そういう歌なの?」

可「たぶんそれっス」

猿「あーなんか怪獣にも心はあるぜ的なニュアンス醸し出してんな確かに。つか怪獣って言ってたんかあれ。あいつら滑舌悪くてわかんねーわ。体重とか害虫って聞こえたわ(笑)え、怪獣の、なにバラード?っつうの?その割にずいぶん陽気な曲だな」

可「まあそうスね」

猿「え、可児くんやったの?中学ん時」

可「あ、別のクラスが」

猿「え?」

可「あ、えーと、学校内のイベントで合唱祭ってのがあって、それで、2年か…3年、いや確か2年、の時に他のクラスが歌ってました」

猿「そんなのあったんだ(笑)だりーイベントだな。え、ちなみに可児くんのクラスはなに歌ったのよ」

可「2年の時なんで、えーと、たぶん時の旅人っス」

猿「なにそれ?」

可「時の旅人っていう、」

猿「え、有名?それ」

可「たぶん」

猿「知らねー。つか合唱曲とか覚えてねーわ全然。そりゃそうだわマジメにやってなかったもん(笑)あーでもあれ覚えてるわ、いのーちーかけてとーってやつ」

可「あの素晴らしい愛をもう一度っスか」

猿「あーそれ!え?あの素敵な愛をください的な感じじゃなかったっけ?」

可「いや、」

猿「違うか。え、あの素晴らしい愛を、もっと、じゃね?」

可「もう一度、っスね」

猿「マジで?あ、もう少し、じゃね?」

可「もう一度、っスね」

猿「だめだ覚えてねーわ。え、なに?可児くんて合唱マジメにやってたタイプなの?」

可「一応」

猿「え、すげー意外だわ。ぜってーサボってるタイプじゃね?つか暗そうだもんなんか」

可「いや、一応マジメでした中学までは」

猿「高校デビューかよ。ぽいわー。高校デビューしてそうだもん」

可「や、はあ」

猿「俺なんか小坊ん時からこんなだもん(笑)マジ変わってねーなと思うわ我ながら(笑)でもさ、いつまでも少年の心とか忘れたくなくね?実際のとこ」

可「まあ、そうスね」

猿「俺ぜってーガキ産まれたら俺みたいに育てるわ。わんぱく息子に育てるわ。幼稚園から酒飲ます(笑)」

可「え。はあ」

猿「あそーだ、今日飲み会だわ。今何時?」

可「4時20分っス」

猿「やべー時間ねえ。早めで頼むわ」

可「はい」




可「できました」

猿「はや。さすが」


可「4500円です」

猿「あー、えーっと、コレで」

可「はい。5500円のお返しです」

猿「へい。お、柿の種!さっすが!だんだん仕事できるようになってきたじゃないの可児くん」

可「はい」

猿「はいじゃねーよコノヤロ。んじゃ」

可「ありがとうございました」





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