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左:蜂須賀さん(はちすかさん)
・26歳
・美容師
・黒髪
・毒舌
・彼氏なし
・猿渡さんが嫌い

―――

美容院にて
営業中、客なし
(蜂…蜂須賀さん、可…可児くん)


蜂「可児くんさー」

可「はい」

蜂「今度合コンやるんだけど来る?」

可「え、いやー」

蜂「ま、来ないわな」

可「そうスね」

蜂「男一人足りないらしいんだけど、数合わせだし、行ってもしょうがないよねー」

可「つか、苦手っス」

蜂「まーねー、可児くん無口だしなー」

可「そうスね」

蜂「行ったことはあるの?」

可「はい専門の時に一回」

蜂「へー。でも結局しゃべれずじまい?」

可「はい。モスコミュールばっか飲んでました」

蜂「可児くんモスコ好きだよねー!店のみんなで行く時もだいたいモスコだもんね」

可「それかシャンディガフっス」

蜂「ああそうだ(笑)てかさ、合コンとかはダメだけど、あたしら店の連中と行くのは大丈夫なわけ?」

可「まあ、しゃべらないでいいんで」

蜂「しゃべらないでいいということはないけどね(笑)ま、気を遣わないで済むからか」

可「たぶん、そういうことっス」

蜂「あ、なんか店長が来週焼き肉連れてってくれるみたいな話してたそういえば!」

可「牛角っスか?」

蜂「や、なんかねー、店長の彼女の友達がやってるとこらしいんだけど、安くておいしいらしいんだよ」

可「へー」

蜂「でも川崎の方なんだって。遠くない?」

可「ちょっと遠いスね」

蜂「ねー。でも店長おごってくれるらしいからなー、どうしよっかなー」

可「あ、じゃあ行きます」

蜂「決断はや!でもそうねー、あたしもおごりなら行こっかな」

可「そうスね」

蜂「あ、なんか合コンなんかよりがぜん焼き肉に気持ちが向いてきたわ。よし、来週は焼き肉のためにがんばろう」

可「そうスね」

蜂「てかヒマだねー」

可「そうスね」




可「あの蜂須賀さんて、」

蜂「お、なになに?」

可「ブラックジャックって読みました?」

蜂「え?あ、店に置いてあるやつ?やー読んでないな。てか読むヒマなくない?」

可「そうスよね」

蜂「なんか店長が家から持ってきたやつらしいね」

可「あ、そうなんスか」

蜂「そうそう。あ、でも手塚治虫ならあたしあれ好き、ブッダ」

可「おもしろいスよね」

蜂「あ、読んだ?なんだっけあれ、鼻水垂らしてた赤ちゃんいたじゃん?」

可「アッサジっスか」

蜂「それそれ!あれかわいいんだけどなんか賢いんだよね?」

可「いや、まー賢いっていうか、そう…スね」

蜂「あとさー、やっぱアナンダのエピソードは泣けるよね」

可「まあ、そうスね普通に」

蜂「手塚治虫ってすごいよねー、ブッダの話をあそこまでおもしろく書けるとか天才だよ。あーなんか読みたくなってきた!ブッダ確か実家にあるんだよなー。読みたいなー。てかじゃあブラックジャック読もうかな今。今むしろチャンスよね」

可「いや、でも」

蜂「お客さん来たら読むのやめればいいからさ」

可「いや、まあ…」



猿「うーす」

可「いらっしゃいませ」

蜂「げ…いらっしゃいませ」

猿「たのむわ」

可「はい、こちらへどうぞ」

蜂(あーもーほんとタイミング悪いな猿渡!空気読めよ!あら、しかも可児くんブラックジャックを手に取って……猿渡の元へ?ちょ、なんでよーあたし読めないじゃーん!いじめ?これいじめ?いやいや可児くんはそうゆう陰湿なコじゃないわっ。まあいいわ。とりあえず1巻は避けてくれたみたいだから、裏行って1巻からゆっくり読み始めるとして)

客「こんにちわー」

可「いらっしゃいませ」

蜂「いらっしゃいませー(もー!)」



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